603:識別及びトレーサビリティー

JIS9001600:ISO9001
JIS9001

ISOの要求事項にトレーサビリティーと言うものがあります。トレースできることと言うことで製品ができたその原材料と工程が特定できる仕組みになります。製品には製造ロット・製造番号(以下、製造ロットに統一)が必要となります。製造ロットがついていないとその製品は特定できず、もし何かの不具合があった場合にすべての出荷した製品を回収しなければならないと言うリスクがあります。

結論

結論からいうと、製造ロットがついていない製品は、企業にとって致命的なリスクを含んでいるので、絶対に製造ロットは必要ということです。

医薬品や医療機器であれば、日本国の要求事項で必要となってます。

トレース

製造ロットが付いている物がどのような原材料で使われていたかをトレースしなければなりません。トレースの意味は追跡です。つまり要求事項は「追跡できること」です。

ロットがつけられた製造製品を、さかのぼって工程がどこであり、原材料が何であり作業者が誰であったか?と言うことを後からわかるような仕組みを構築しなければならないと言うことです。中間製品を使用していれば、その中間製品の製造ロットから、さらにさかのぼって製造状況を確認できるようにしなければいけません。

そのためには日報に製造数量だけではなく①原材料の製造ロット、②作業員が誰であったか、③マシントラブルは何が起きていたのか、それは何時に起きていたのか、④できた製品の製造ロットは何番で、他に製造したものがあるのか、ないのか等を記録して後から見直すことができるようにしなければなりません。

日報が必要

トレースするには記録から紐解いていかなければならないので、日報をレイアウト化して帳票を作り指定された帳票に書くと言うことが管理の第一歩と言うことになります。

製品の中には製造工程がいくつも直列に繋がっており中間製品をいくつも経由して製品化になるものもあると思いますが、その中間製品ごとにロットをつけて管理するということが必要になります。

製品回収(リコール)

不具合が致命的なものであれば製品回収をしなければなりません。

ただその製造ロットだけを回収すれば良いかどうかは、このトレーサビリティーと言うものを使ってどれだけのロットに広がるかどうかを検証しなければならないと言うことになります。その製造ロットの不具合がもし原料ロットが原因だったとすればその製品ロットだけに限定していいのか?はたまた複数の製造ロットにその原料は使われていたのかと言うことを検証して製品回収の製造ロット範囲を決めなければいけないと言うことになります。

逆に言えばトレーサビリティーが取れていなければ製造ロットがついていてもどれだけの範囲を回収したらいいかと言うことがわからないため、その製造ロットに限定して回収するわけにいかず、すべてのロットについての回収を行わなければならないと言うことになってしまいます。

リスクの大きさ

これはとても企業にとって大きなリスクであり費用も非常にかかる事だけではなく、全国に出荷されているその製品が一時的に国内からなくなるので他社製品があれば、国内に対する影響は少ないですが、自社だけが製造しているものが一時的に国内からなくなると言う事は信用を落とすだけではなく日本の国民の皆様に多大な迷惑をかけるということが予想されます。

それなのでトレーサビリティーは簡単なようですが、それが使える時に使えるようにしておかないと無駄な作業になってしまいます。そこは記録の保管も含めてしっかりやらなければならない事項と言うことだと思います。記録の保存期間は、使用期限があるものは、使用期限+1年を要求されます。

と言うことでトレーサビリティーは会社が必要と言うことで、ISOの要求事項だから必要と言うわけではないと言うことがわかります。

製造ロットの大きさ

製造ロットを細くすれば回収リスクが下がるというように簡単には思ってしまいますが、トレーサビリティーの考え方からしても、製造ロットは同じ品質の集合体をしめせる大きさで製造ロットを管理すると言うことが必要です。

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