999B01:原価計算の立ち上げについて

999:パソコン以外について

今、当社で運用しているのが、予定単価法による工程別実際原価計算です。予め予定単価を全ての原材料から、中間製品、製品に設定しておきその差異を毎月把握して、在庫と原価に按分して計算していくというものです。予定単価は、基本的には、1年間変化することはありません。おかしい時もあるかもしれませんが、次の年に変更すれば良いということで割り切って進めないと、原価計算がスタートできません。

注意)建築や土木の原価計算ではなく、大きな工程変動のない製造工場の原価についての話です。

工程を決める

原価計算のスタートはまず工程を分けるところから始め、工程を分けて工程番号をつける。工程をどのくらい細くすることで原価も細かい原価になりますが細かいところばかり追求しても原価計算が始まらないので製造ラインごと、工場で管理されている部門程度ごとに分けるのが良いと思います。

工程を分ける基準とすればその工程で合理的な製造をすることでその工程を評価するために工程分けをするのであるので細かすぎる工程では分析もできずにあまり細かいだけでメリットがそんなに感じられないと思います。工程全体で、最も合理的な製造方法も模索していくために、工程別原価計算があるのです。

工程が分けられたら、工程コードと工程名のテーブルを作りましょう。工場が複数ある場合には、工程コードの前に、工場コードを設定して、工場コード、工場名称、工程コード、工程名のようなテーブルにしてください。

原材料の品番を付ける

原材料、包装資材等、すべてにおいて、名称の管理から番号での管理にするために、品番を付けてください。番号管理にしないと、ものが特定できずに、間違えの元となります。

原材料や包装資材については、仕入先が別会社となるため単位の設定については、両者で協議が必要ですが、購入する側がどちらかというと優位なので、できるだけ自社の管理方法にあった単位での契約に変更することをお勧めいたします。当社では、ロール状の原材料が多いので、1ロールを単位として単位は巻、名称は、 「○○ 450mm幅 25g/㎡ 3000m」とかいうことで、投入したら、1を投入として、在庫が0になるといった具合です。枚数でカウントできるものは、例えば段ボールがあり、名称は、「段 ○○24個入用」とかいう具合に段ボールであることが一目でわかるような名称にしてあります。

中間製品に品番を付ける

1つの工程で完成品ができない場合には工程から次の工程に移る中間製品については品番をつけることになります。その中間製品の品番に見積もり価格を設定しておくと言うことで仕掛品の金額になります、原価計算の本によると工程の中の材料についても本来であれば原価の中から除外して、棚卸金額に入れる必要性があるように書いてありますが期首と期末のその中に入っている部材の差が多くなければそこは無視して良いと考えています。それなので数えられるものと数えられないものに分けて数えられるものについては徹底して帳簿の数字と現物の数字が合うように現場で管理していかなければならなりません。

製品の品番を付ける

あえて、製品に品番を付けると言わなくても、製品に品番がついていない企業はいないと思いますが、敢えて、製品に品番を付けるということをここに記載させてください。

すべてに番号をつけて管理が始まるのですね。

上記、原材料、中間製品、製品と、番号を付けたら、この3つは、一つのテーブルに入れてしまいましょう。品番の桁数を5桁にするなら、10001から付番していくほうが良いと考えております。製品品番に余裕があれば、すべて数字をお勧めしますが、製品品番に余裕がない大きな会社は、原材料はA0001からとか、中間製品は、B0001からとか、工夫できると思いますが、できるだけ品番は数字であったほうがなにかと便利だと思います。

このテーブルは、もっとも重要なテーブルです。その形式は企業によって多少変化はあると思いますが、基本的なものは、

  • 品番    :例)12345
  • 品名    :例)○○○
  • 単位コード :例)9 (別に単位テーブルで日本語を用意)
  • 予定単価  :365.42円 (小数点2位程度は必要かと思います)
  • 区分コード :例)1 (原材料か中間製品か製品か、仕入品か)
  • 分類    :例)123(企業によっていろいろな分類が存在すると思いますので、1つに限りません)
  • 換算コード :例)9876
  • 換算率   :例)12 (乗数と除数を別々のフィールドに整数で設定したほうが良いと思います。)
  • 削除フラグ :例)D (活動中か削除済みが示すもの)
  • 仕入先コード:例)12345 (別に仕入先テーブルが必要)
JANコードと品番

品番は5桁を強くお勧めします。JANのメーカーコードの後の品番の桁数に合致するためです。JANコードは、頭49が日本という国コード、次の5桁がメーカーコード、次の5桁がメーカー内の製品を特定する番号、最後の一桁がチェックデジットという形式をしております。チェックデジットは、バーコードでスキャンしたときに、正しく読むことができたかどうか、番号の計算ルールにそって出した数字とチェックデジットの数字があっていれば読み込むことができるという仕組みのために設定されております。JANコードと社内の品番が合致していたほうが、人間的に受け入れやすいので、5桁をお勧めしております。

日報入力

工程コードが設定でき、それぞれの品番が設定できれば、やっと日報の記載をデータ入力できるようになります。日報の大きな要因は、原材料の入出庫と使用数量、製品および中間製品の出来高、製造に要した作業時間(人的稼働時間と製造マシンの稼動時間)、トラブルの記録と対応になります。

以下は失敗例です。

工程が、直列にいくつも繋がって製造する製品の原価を、最も初めの工程の中間製品原価をそれぞれ求めてから、その中間製品原価を次の工程の単価として使用して、さらに次の中間製品原価に使用してと、いうようなプログラムを使用しようとチャレンジしたことがありましたが、メンテナンスが、とても追いつかずに大失敗した経験があります。これは、プログラムは万能であり、全ての情報を入れれば、計算してくれる。という誤った考え方で作られたプログラムだと思いました。

やはり、原価計算のノウハウがないままに、プログラムを作ってしまってはいけないということが、わかりました。

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